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【2024年3月期 通期決算発表】付加価値の源泉としての人的資本投資について

みなさまこんにちは。IR担当をしている金岡です。
当社は2024年5月14日に2024年3月期の通期決算、および2025年3月期の業績予想の発表を行いました。

今回はそちらの発表内容から、トピックをいくつかピックアップして解説いたします。ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。


はじめに

決算発表と同時に、機関投資家・アナリストの方向けのオンライン説明会を行いました。

CFOの塩川が説明しており、ログミーファイナンスで書き起こしが公開されています。
初めての方で、当社の事業、サービスの内容などを知りたい、という方はこちらをご覧ください。

業績ハイライト

2024年3月期について、前期との比較で売上が増加しましたが、利益は減少いたしました。

ARPU(平均月額単価)は、当社SaaSを使っていただいているお客様の、平均的な1社あたりのご利用料金です。
こちらは順調に伸びており、みなさまに当社SaaSをご活用いただいて、付加価値を感じてもらえていることの結果、と捉えています。

MRR(Monthly Recurring Revenue)解約率は、解約などで一か月でおよそどれくらいの売上が減るか、を%で示した数字です。
3月の実績はこの数字がマイナスになっています。このような状態を「ネガティブチャーン」と呼びます。

「ネガティブチャーン」とは、新サービスの追加導入や、よりグレードの高い契約プランへの変更などで、既存のお客様のご利用料金が前の月を上回った、ということを意味しています。

このように、サブスクリプションビジネスでは、新しいお客様にサービスを導入していただくだけでなく、新サービスのリリースや機能拡充などで、既存のお客様により高い付加価値を感じていただくことも重要になります。

2024年3月期のその他の実績については、後でも詳しく解説します。

売上高の内訳

売上高の内訳について、サブスクリプション売上が前年比で+7.6%と伸びた一方、ソリューション売上は減少となりました。

ソリューション売上は主に、当社SaaSの拡張開発や、導入支援サービス等で構成されています。
こちらは引き続き多くのお引き合いをいたいており、特に、全国的に展開されているような上場企業クラスの大手の企業様への導入プロジェクトが増えています。
ただ、そういったプロジェクトについては、期間も長く、必要な機能や要件なども難しいことが多いです。

そうしたなかで、現在進行中の導入プロジェクトのうちのいくつかの案件について、2024年3月までに完了に至りませんでした。そのため結果として、ソリューション売上については前年同期との比較で売上がマイナスとなりました。

これらのプロジェクトは2024年4月以降、順次完了していく予定であり、引き続き完了に向けて尽力してまいります。

ARPU(平均顧客単価)の推移

ARPU(平均顧客単価)について、3年間の動きをグラフ化したものです。ほぼ一貫して上昇傾向にあります。

当社SaaSは複数のサービスラインに分かれており、どれかひとつを単独でご利用いただくことも、複数のサービスを組み合わせてご利用いただくこともできます。

そのため、最初は単独のサービスをご利用いただいていたお客様が、のちのち追加で新たなサービスをご導入いただくなどで、自然と1社あたりの平均単価が上がっていくようなモデルになっています。

また、大手企業のお客様の場合、複数の分野にまたがってマルチに事業展開されていることが多いです。そのため、複数の当社サービスを組み合わせて導入されることが多く、一月あたりのご利用料金についても比較的高くなる傾向にあります。

近年は特にそういった大手のお客様からのお引き合いが増えており、それもARPUの上昇トレンドという形で表れてきています。

導入事例ピックアップ

2024年3月期に当社SaaSをご導入いただいたお客様の事例を、いくつかご紹介いたします。

当社SaaSは、上場企業のグループ会社など、比較的規模の大きなお客様によく選ばれています。
当社のサービスが持っている特徴として、こういった層のお客様に特に付加価値を感じていただきやすいのですが、よりコンパクトに、無料ユーザーという形で敷居を低く利用をスタートしていただくこともできます。

無料ユーザーについては、後でまたご説明いたします。

特にデジタル感度の高い、学生の方をメインターゲットとして事業展開されている大学生協のお客様にも、当社SaaSはよく選ばれています。

また、特定の地域に特化して展開されている有力な不動産会社のお客様にも、多くご利用いただいています。
こういったお客様は、いわゆる全国的な不動産フランチャイズ(FC)ネットワークのいずれかに加盟されていることが多いですが、その場合でもFCシステムに加えて当社システムを中心に業務を進めたい、と言っていただけることが多いです。

損益計算書サマリー

売上についての解説は以上のとおりですが、費用面についても解説します。
2024年3月期の連結損益計算書のサマリーは下記のとおりです。

売上が成長している一方で、費用も増えています。

当社は、中長期的に競争力を維持していくための投資として、特に人的資本関連への投資を近年大きく拡充しています。
詳細は別途、業績予想のところでもご説明しますが、この方針は来期も継続していく予定でおります。

費用の内訳

2024年3月期の費用の内訳については下記のとおりです。
ご覧のとおり、特に人的コストについて大きく増やしています。

当社は安定的な営業キャッシュフローをもとに、積極的な投資を行い、競争力を維持していくことを基本方針としております。
ご覧の通り、前年比で人件費が大きく伸びていますが、優秀な人材を当社に惹きつけ、獲得し、繋ぎとめるために、避けては通れない投資である、と考えています。

2025年3月期通期業績予想

2025年3月期の業績予想は、下記のとおりです。
売上の成長を持続していく一方で、利益については減少する計画としております。

売上は前年比で+10%以上の成長を見込んでいますが、費用増がその成長ペースを上回ると見込んでいます。

今期の成長戦略

2025年3月期の業績予想について、より詳しく解説します。

まずは、先述した進行中の導入プロジェクトについて、着実に完了させていきます。またこれに関連して、2024年3月末時点で仕掛品として計上されている金額がプロジェクトの完了に伴って費用に繰入られ、その点でも費用が増加する見込みであります。

また、大手企業のお客様からは引き続き旺盛なニーズを観測しており、オンプレミス型の既存システムからSaaSへ移行していくトレンドは今後もしばらくは続いていくと考えています。
現状でも多くのお客様に当社SaaSをご利用いただいており、この成長トレンドはしっかりキープして、ARPUおよびサブスクリプション売上についても成長させていきます。

これらの戦略を着実に実行していくことで、売上成長は+10%以上を見込んでいます。

次に費用面について、今期は人的資本投資を大きく拡充してまいります。
まずは給与水準の向上として、会社全体で平均10%を超える昇給を4月に実施済みです。また人員数についても、この4月にかなり増やしてスタートいたしました。

開発投資については、不動産売買領域について機能強化を予定しています。売買領域についてはこれまでもSaaSラインナップの一角としてサービス展開してきており、多くの実績があります。一方で、既存のお客様からはさまざまなデジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズが集まってきており、このタイミングでリニューアルして大きくパワーアップしたいと考えています。

また主に賃貸管理のお客様にご利用いただく、建物管理や修繕管理の新しい機能も開発しています。既にこれらの領域については既存のお客様からのお引き合いもあり、着実に売上成長につなげていきたいと考えています。

以上のような戦略を着実に実行し、2025年3月期だけでなく数か年にわたる、持続的な+10%以上の売上成長を目指してまいります。

人員構成

採用状況については、下記のとおり好調に推移しています。

多くの業界で人手不足がテーマになり、激化している採用競争のなかでも、順調に人員体制を拡充できています。4月は新卒・中途合わせて約30名の新入社員を迎えることができました。

既存社員の教育体制も大幅に見直し中です。研修企画などのセールスイネイブルメントをメインで行う主導部門の創設など、さまざまなプロジェクトが進行中です。

新入社員のなかには「公式noteを見て入社を決めた」というような、嬉しい声もいただいています!

人的資本拡大に関する基本方針

こういった人的資本への投資強化に先立ち、社内外のステイクホルダーの方に向けて、当社は基本方針を公開しています。

また、人的資本関連の各種のデータ・KPIなどは、有価証券報告書・統合報告書などでしっかりと公開しています。

投資の成果も含めて、公明正大にステイクホルダーに公開してこそ、投資家の方々にとって適切な投資判断ができると考えています。

中長期の成長戦略

中長期の基本的な成長戦略は下記のとおりです。

先述したとおり、旧来オンプレミス型のシステム構築を志向していたような大手企業のお客様のなかにも、SaaSシフトのニーズが高まってきています。当社は今後も、そのニーズに着実に応えるSaaSラインナップを拡充してまいります。

SaaSオンリーでフルラインナップのSaaSプロダクトを取り揃え、リアルタイムで業務の一元管理ができるソリュ-ション提供ができるのは、当社が唯一である、と自負しています。

そういった強みを活かして大手企業に当社SaaSの導入を促進することで、優良かつ大量な物件データが、SaaSプラットフォーム上に蓄積・集約されていきます。
オーナーや入居者、管理組合、修繕工事事業者など、不動産業界は一つの物件の周辺にさまざまなプレーヤーが関係しており、一つの経済圏を構成しています。
そういった経済圏を広く取り込み、「いい生活 Square」の無料ユーザー(現在約19,000社)を大きく増加させてまいります。

そして「いい生活 Square」を中核として、無料ユーザーへ付加価値を訴求できる新サービス/新機能をリリースし、有料ユ-ザーとして課金いただけるように働きかけを行ってまいります。

さらに、他社の様々なサービスとも連携してさらに経済圏を拡大、ひいては不動産物件を中核にした一大プラットフォームとなることを構想しています。

戦略実現のための機能リリース

こうした成長戦略に沿って、新機能をリリースいたしました。

「いい生活賃貸クラウド」の新機能として、「いい生活Square」上の物件情報を自動で取り込み、自動で広告の掲載/停止ができる機能をリリースいたしました。
無料ユーザーにとっては、新機能を搭載した「いい生活賃貸クラウド」を新たに導入することで、大きな収益機会の拡大が見込めます。こちらの新機能により、課金へのハードルが下がることを狙いとしております。

また、「いい生活賃貸クラウド」「いい生活賃貸クラウド」の新機能として、不動産広告を掲載したポータルサイトからの反響を、リアルタイムでレポート化できる機能を搭載いたしました。こちらも有料版利用へのハードルを下げる付加価値、キラーコンテンツとなることを期待しています。

プロダクトビジョン

さまざまな業務分野をカバーする幅広いプロダクトラインナップをそろえ、それらのプロダクト同士がリアルタイムに情報連携すること、またサードパーティのシステムなどともスムーズに連携すること、それらをもってユーザーのみなさまのビジネス全体の最適化、DXを実現するのが当社のプロダクトビジョンであり、付加価値であると考えています。

付加価値創造の源泉となる人材への投資、人的資本投資の各種の取り組みについては、今後も引き続きこちらのnoteでも発信していく予定ですので、ぜひ継続してフォローしてもらえれば幸いです。

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございました。2024年3月期通期の決算内容から、トピックをいくつかピックアップして解説させていただきました。

当社は個人投資家の方向けに、オンライン説明会を定期的に開催しております。公式YouTubeに過去の開催分のアーカイブ動画を公開しておりますので、こちらもぜひご視聴いただければと思います。

(ご留意事項)本記事は、情報提供のみを目的として作成しており、有価証券の販売の勧誘や購入の勧誘を目的としたものではございません。

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