【2025年3月期 第2四半期決算発表】優秀な人材を成長市場へ
みなさまこんにちは。IR担当をしている金岡です。
当社は2024年11月7日、2025年3月期の第2四半期決算発表を行いました。
今回はそちらの発表内容から、トピックをいくつかピックアップして解説します。ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。
はじめに
決算発表と同時に、機関投資家・アナリストの方向けのオンライン説明会を行いました。
CFOの塩川が説明しており、ログミーファイナンスで書き起こしが公開されています。
初めての方で、当社の事業・サービス内容などをより詳しく知りたい、という方はこちらをご覧ください。
前年同期比で+8.2%の増収
2025年3月期第2四半期(2Q)は、前年の同じ時期との比較で、+8.2%の増収となりました。
売上高は堅調に伸びています。成長の要因については、後段で詳しく解説します。
第2四半期としては費用増のリカバリー途上で営業損失
2Qはわずかながら営業損失(赤字)となりました。
第1四半期(1Q)の決算発表でもご説明したとおり、今期は主に人的資本関係への投資を強化しています。
投資の成果は徐々に見えてきているものの、まだ利益面のリカバリーには届いていない状況です。
一方で、7月~9月の3か月間の利益としては黒字に転じており、今後下期にかけて売上を伸ばしていくことで、利益面も徐々にリカバリーできていくと考えています。
直近の7月~9月は黒字に転換
足元の7月~9月の期間では利益が出ていますが、4月~6月の営業損失分をトータルでまだリカバリーしきれていない状況です。
サブスクリプションビジネスの一般的な特性として、利益が期の後半に偏る傾向があり、今期は人材面で投資を強化したこともあって、特にその傾向が強く出ています。
この点は下半期にかけて、しっかりとリカバリーしていきたいと考えています。
人的資本投資を強化
コスト増は主に人件費関係です。
新卒採用が好調であり、「人手不足」といわれる目下の採用環境のなかでも、一定の成果をあげられています。
今期は特に「持続的な成長に向けた人的資本投資の強化の時期」と位置付けており、全体の給与水準の引き上げや、積極的な人材採用、社員研修などの育成強化、組織診断サーベイの実施など、さまざまな施策に取り組んでいます。
なお、これらの人的資本の状況については、ホームページでも各種のKPIを公開しています。
こういったデータを公開することで、これから当社の選考を希望される方や、その他さまざまなステイクホルダーの皆様へ、フェアな情報公開を行っていきたいと考えています。
10万戸を超える大手管理会社で当社SaaSが本格稼働開始
不動産市場特化のバーティカルSaaSとして、10万戸を超える規模の管理会社の基幹業務における、全国初の稼働事例となります。
こういった大規模な基幹システムの入れ替えには、多くの人が関わります。
多岐にわたる関連部門との調整、さまざまな周辺システムとのデータ連携、膨大な量のデータの移行などがあり、極めて難易度の高いプロジェクトです。
こういった難しいDX(デジタル・トランスフォーメーション)プロジェクトを成功に導くには、優秀な人材を採用・定着させていくことが不可欠であります。
そして、そのための人的資本への投資は、避けては通れないもの、と考えています。
後段でも説明しますが、不動産テックのマーケット規模は引き続き拡大する予測がされています。
当社としてもマーケットの拡大に合わせて体制強化を続け、事業を伸ばしていきたいと考えています。
大手管理会社での稼働がもたらす波及効果
SaaS型の不動産管理システムを提供できているベンダーは、いまだ市場に数少ない状況です。当社はそのなかでも大手企業で複数の採用・稼働の実績があります。
こういったお客様はいわば不動産市場の中核であり、その周辺には、賃貸仲介や設備管理・修繕など、関連ビジネスを展開されている比較的小規模な事業者様が数多くいらっしゃいます。
中核となる大手管理会社様に当社SaaSを導入していただくことで、当社SaaSで形作られた大きな情報流通プラットフォームのなかで、複数の事業者が関与するバリューチェーン全体の効率が高まっていきます。
プラットフォーム全体の情報の質・量の改善は、当社SaaSをご利用いただいている既存の無料ユーザーの方(約19,000社)にとってもメリットがあり、有料化してフルバージョンの機能を活用するインセンティブが高まっていきます。
大手管理会社での採用により、ARPUが上昇
大手管理会社のお客様は、その管理戸数に比例して、SaaSで管理されるデータ量も大きくなります。
そのため、こういったお客様は1社あたりのSaaS月額利用料の単価が比較的高くなる傾向にあります。
大手のお客様の採用が近年続いていることを背景に、当社SaaSのARPUは徐々に上昇しています。
大手企業のお客様からのお引き合いは引き続き多くいただいており、今後もしばらくはこの上昇傾向が続いていく、と見ております。
ソリューション売上も順調
ARPUの上昇によりサブスクリプション売上が伸びている一方、ソリューション売上についても順調に成長しています。
近年懸念されている「人手不足」を背景に、「BPaaS(Business Process as a Service)」という新しいかたちのアウトソーシングビジネスが盛り上りを見せております。
当社においても、不動産市場特化型のBPaaSソリューションとして展開しています。
子会社のリアルテック・コンサルティング社が主に提供しているサービスであり、近年の市場のトレンドを踏まえ順調に成長を続けております。
ソリューション売上成長の柱「BPaaS」
BPaaSとは、クラウドベースのソフトウェア・アプリケーションの活用を前提とした、クラウド経由での業務アウトソーシングサービスです。
このサービスは当社SaaSをご利用いただいているお客様にのみ提供しており、当社SaaSをよりよくご活用いただくための導入・運用のご支援、ならびに当社SaaSを通じた業務のアウトソーシングなどが主たるサービス内容になります。
不動産市場における「BPaaS」のポテンシャル
DXの課題として、「人材不足」が最大の課題としてあがっています。特に、IT活用に知見のある適切な人材の採用については、規模の小さい事業者様ほど、課題感を感じておられます。
政府の統計によれば、不動産業は特に小規模な事業者様が数多くいらっしゃる業界でもあります。
そのため、「不動産業界特化型BPaaS」については、今後も高いニーズが期待できるものと考えています。
サービスラインナップの拡充でARPUが上昇
画像は当社SaaSをご採用いただいたお客様が、その後どのように別のSaaSを追加導入されていくのか、そのイメージを表現したものです
まずは手軽に導入できるところから当社SaaSラインナップの一部をご採用いただき、その結果、一部の業務が効率化し生産性が上がります。
そうなると、今度はそこだけでなく、その前後の工程がボトルネックとなっているように感じ、新たな課題感が生まれてきます。
お客様の最終的なビジネスの成功のためには、一部の業務工程のDXだけでは効果は限定的であり、
一連のバリューチェーンが全体として効率化され、全体最適が実現してこそ、ビジネスの成功がある、と当社は考えています。
このようにユーザーのニーズを深堀した新しいサービスを積極的に商品化し、既存のお客様に追加でご採用いただくことでも、ARPUは上昇してまいります。
プロダクトビジョン
将来に向けたプロダクトの成長・拡大のビジョンを説明したスライドがこちらです。
さまざまな業務分野をカバーする幅広いプロダクトラインナップをそろえ、それらのプロダクト同士がリアルタイムに情報連携すること、またサードパーティのシステムなどともスムーズに連携すること。
それらをもってユーザーのみなさまのビジネス全体の最適化、DXを実現するのが当社のプロダクトビジョンであり、付加価値であると考えています。
不動産市場の法制度改革は今後も続く
2019年の「不動産ビジョン2030」の策定以降、近年さまざまな法制度改正が続いております。
大きなものでは、賃貸住宅管理業法の新規施行や、不動産契約の完全電子化があります。
直近では、省エネ性能表示制度の開始や、相続不動産の登記義務化など、不動産市場と不動産テックにインパクトのある改正や制度の見直しが進んでいます。
これらの法制度改正について、当社SaaSはマルチテナント型クラウド・SaaSとしての強みを活かし、いち早く対応を進めております。
2030年を目指して、ビジョンに沿ったさまざまな法制度改正が今後も進んでいくと見ており、当社にとっては良好な外部環境が続いていくと予想しています。
不動産テック市場規模
2030年度の不動産テック市場の規模についての予測です。
中立的な第三者の立場から、不動産テック市場は引き続き大きく成長することが予測されています。
今期の人的資本関連の投資強化は、この市場規模の拡大を見越した戦略的投資であります。長期的視点に立って投資を行い、成長するこの市場で大きく事業を伸ばしてまいります。
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございました。2025年3月期第2四半期の決算内容から、トピックをいくつかピックアップして解説させていただきました。
当社は個人投資家の方向けに、オンライン説明会を定期的に開催しております。公式YouTubeに過去の開催分のアーカイブ動画を公開しておりますので、こちらもぜひご視聴いただければと思います。
以上、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
(ご留意事項)本記事は、情報提供のみを目的として作成しており、有価証券の販売の勧誘や購入の勧誘を目的としたものではございません。